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商標 よくある誤解集

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依頼人の皆様と商標に関するお話をすると、意外なところで、「知らなかった!!」という言葉を耳にすることがあります。

どうやら、弁理士にとっては「当たり前のこと」であるためか、商標の依頼をした特許事務所や弁理士からの説明が不足しており、重要事項にもかかわらず、誤解が生じているケースがあるようです。

そこで、本ページでは、そのような事項をまとめてご紹介いたします。
特に、商標制度とのかかわりが比較的浅い方を、対象としております。
商標制度のより深い理解のために、お役立ていただけましたら幸いです。


商標よくある誤解集 目次
最終更新:2018年4月6日

商標登録に関する誤解
1.商標登録って、申請(出願)すれば必ず登録されるのですよね?
2.商標出願をすると、すぐに登録できるかわかるのですよね?
3.商標出願をすれば、安心して商標を使えるのですよね?
4.私が先に使い始めた商標であれば、商標登録できますよね?
5.商標登録をするには、商標の新規性とか創作性が必要ですよね?
6.審査でひっかかったら、商標登録は諦めるべきですよね?
7.審査でひっかかったら、その商標の使用はできないのですよね?
8.日本で商標登録をしていれば、もう安心ですよね?
9.そもそも、商標登録をしないと商標って使えないのですか?
10.商標登録って、2万円以内でできるのですよね?
11.商標登録できなかったら、出願手数料は戻ってきますよね?
12.願書に記載した商標見本って、変更できますよね?
13.願書に記載する指定商品って、追加できますよね?
14.中国で商標登録をしておけば、もう安心ですよね?

商標調査に関する誤解
15.商標調査をしたので、絶対に登録が認められますよね?
16.商標調査って、弁理士さんがやれば同じ結論になりますよね?

商標権に関する誤解
17.商標権があれば、どんな相手にもクレームできますよね?
18.商標権って、10年経ったら消滅してしまうのですよね?
19.他人の商標権を侵害したとしても、怒られて終わりですよね?

その他の誤解
20.「そだねー」とか「PPAP」が商標登録されたら、これらの言葉は使えなくなるのですよね?

商標登録に関する誤解

1.商標登録って、申請(出願)すれば必ず登録されるのですよね?

いいえ、それは誤解です。
商標登録をするには、特許庁の審査をパスする必要があります。

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初めて商標登録をしようとお考えの方に、よくある誤解です。

商標登録の申請(以下、「商標出願」と言います)をすると、登録を認めても良いかどうかが特許庁で審査されます。これにパスした場合に限り、商標登録が認められます。商標出願をすると、自動的に登録されるわけではないのです。

審査項目は、主に商標法の規定に基づきチェックされます。
申請書(以下、「願書」と言います)の記載や、商標について、約30項目がチェックされることになります。


2.商標出願をすると、すぐに登録できるかわかるのですよね?

いいえ、審査結果が出るまでには、約6~7か月かかります。

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商標出願後、すぐに審査結果が出ると誤解されている方をよく見かけます。

特許庁の審査着手は、およそ出願から6~7か月後になされています。
わかりやすく言いますと、しばらくは「順番待ち」となるわけです。

したがって、商標出願をすると、すぐに登録できるかどうかの結果がわかるわけではありませんので、注意が必要です。「順番待ち」の期間を踏まえて、1日も早く出願手続を行なうことが重要となります。

なお、所定の条件を満たす場合には、「早期審査申請」をすることができます。
認められるかは担当審査官次第ではありますが、認められた場合には、約2か月程度で審査結果が出る場合もあります。審査結果を早く知りたい場合には、これを活用するのも良いでしょう。


3.商標出願をすれば、安心して商標を使えるのですよね?

商標出願をしただけでは、商標権は生じていません。
使用開始前に商標出願をするのは理想的ですが、本当に安心して使えるのは、商標登録が認められてからとなります。

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商標出願をすれば、その商標を自由に使える、
商標出願をすれば、同じ商標や似ている商標を使う他人にクレームできる、
このように誤解されている方をたまに見かけます。

しかし、商標出願をしただけでは、商標権は生じていません。
商標権は、商標登録によってはじめて認められる強力な権利なのです。
したがって、本当に安心して使えるのは、商標登録が認められてからとなります。

1日も早く出願をするのは理想的ですが、出願をしただけではまだ安心はできないという点には、注意する必要があります。


4.私が先に使い始めた商標であれば、商標登録できますよね?

いいえ、それは誤解です。
商標登録は、使い始めた順ではなく、特許庁に出願した順に認められます。

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よく言われる通り、商標登録は「早い者勝ち」のシステムです。
しかし、早い者勝ちと言っても、日本では「1番早く特許庁に出願をした人」に、原則として、商標登録が認められます。

したがって、たとえ何年も前から自分だけが使っていた商標であっても、他人が先に商標出願をすれば、特別な事情がない限り、その他人が商標登録を受けることになります。

以上の次第ですので、商標出願は1日も早く行うことが重要です。


5.商標登録をするには、商標の新規性とか創作性が必要ですよね?

いいえ、必要ありません。
特許や意匠のように、新規性や進歩性(創作非容易性)は不要です。
造語は強い商標となり得ますが、既存の語でも商標登録は可能です。

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基本的な点ではありますが、発明について特許を受けることを主な業務とされている方々の中には、たまに誤解があるようです。

商標登録を受ける商標には、新規性や創作性は必要ありません。
創作である発明や意匠とは異なり、商標は、使用されれば使用されるほど、そこに需要者の信用が蓄積しますので、そのような商標こそ保護の必要があるからです。

ある発明について特許を受けたり、ある意匠について意匠登録を受けたりするためには、特許庁の審査において、新規性や進歩性(創作非容易性)が厳しくチェックされます。すなわち、出願された発明や意匠が、第三者に公開・公表されていないことや、それらの創作が容易でないことが、特許や意匠登録が認められるための要件となります。

一方で、商標登録を受けようとする商標も、発明や意匠と同じ知的財産の一種であり、特許庁で審査を受けるものですが、このような要件は課されません。したがって、登録を受けようとする商標がすでに世の中に知られていてもよいですし、その商標を構成する文字や図形が、今までに誰も発想しなかった造語やデザインである必要もありません。

ですので、皆様がすでに広く商品やサービスに使用されている商標については、新規性がないために商標登録を受けられないということは全くなく、むしろ早期に商標登録をされた方が良いと言えるものですので、この点十分にご留意ください。

なお、特許庁の審査において商標の新規性や進歩性(創作非容易性)がチェックされないとはいえ、この商標が他人の著作権等の他の権利と抵触するものである場合には、たとえ商標登録を受けたとしても、商標法によりその商標の使用が制限されます。


6.審査でひっかかったら、商標登録は諦めるべきですよね?

いいえ、必ずしも諦める必要はありません。
適切な対応をすることで、最終的に登録できる余地は十分にあります。

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審査でひっかかると、「拒絶理由通知」が送られてきます。
一般の方は、これを見ると「諦めムード」になることが少なくないようです。
しかし、拒絶理由通知は、あくまで審査官の「1次判断」にすぎません。

たとえば、願書の記載不備であれば、手続補正書を提出して修正・訂正することで、拒絶理由を解消することは難しくありません。拒絶理由を解消できれば、最終的に登録が認められます。

また、「『○○○』という商標に似ている」という拒絶理由の場合であっても、意見書を提出して反論することで、審査官を説得することができれば、最終的に登録が認められます。

特許庁の審査官は、判断が微妙な場合には、とりあえず拒絶理由通知を打つ傾向があるのも否定できないところです。よって、出願した商標がどのようなものかにもよりますが、拒絶理由通知が来ても諦めず、対応策をじっくり検討することが重要です。

なお、拒絶理由通知への応答は期限が定められていますので、ご注意ください。


7.審査でひっかかったら、その商標の使用はできないのですよね?

絶対に使えなくなるわけではありません。
審査にひっかかった理由次第、ということになります。

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たとえば、「識別力が認められない(そもそも商品や役務について商標としての機能を発揮できない)」という理由でひっかかった場合、そのような商標は、特定人に使用の独占を認めるべきではないと判断されたことになります。

したがって、逆に言えば、このような商標は「誰でも使ってよい」ことを意味しますので、審査でひっかかったからといって、使えなくなるわけではありません。

一方、「他人の商標と同じ(又は似ている)」という理由でひっかかった場合、その商標は、その他人の商標権の範囲内に含まれることになります。

したがって、このまま商標を使えば、その他人の商標権を侵害してしまうことになりますので、それ以上使うのは控えた方が良いということになります。

なお、上記「6」のとおり、拒絶理由通知はあくまで審査官の1次的な判断ですので、適切な対応をすることで、拒絶理由を解消して、最終的に商標登録が認められることも少なくありません。審査でひっかかった場合には、まずは諦めずに対策を検討することが肝要です。


8.日本で商標登録をしていれば、もう安心ですよね?

日本の商標登録の効果は、日本国内でのみ有効です。
外国でも安全に商標を使用するためには、原則として当該国でも商標登録を受ける必要がある点に注意が必要です。

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日本で商標出願をして無事に商標登録を受けると、「商標権」が発生します。
商標権があれば、権利の範囲内で、その商標について自分だけが使用を独占することができ、他人の無断使用を禁止することができます。

しかし、商標登録のシステムがあるのは日本だけではありません。
日本だけでなく、諸外国でも同様に登録制度が採用されており、その効果は、原則として各国ごとに生じることとなっているのです(属地主義)。

つまり、日本で商標登録を受けた場合、その商標権は日本全国に効力が及ぶものの、外国にまでは及ばないということになります。また、たとえ日本で商標登録を受けている場合であっても、日本以外の国では第三者によって、同じ商標がすでに登録されている可能性があるため、注意が必要です。

よって、諸外国における他人の登録商標の存在を知らずに、その商標を使用した商品を当該国で販売したり、当該国へ日本や他の国から商品を輸入したりすると、商標権の侵害を問われる可能性があるということになります。

このような事態とならないように、日本だけでなく外国でも商標の使用予定がある場合には、事前に当該国において商標調査や商標出願を行なうことが肝要です。


9.そもそも、商標登録をしないと、商標って使えないのですか?

商標登録を受けなくても、商標を使用することは「一応」は可能です。
しかし、使用上のリスクがあるため、オススメできるものではありません。

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商標登録を受けるかどうかは、法律上の義務はありません。
その商標の使用者の任意での判断となります。

ただし、その商標の使用に効力が及ぶ商標権を第三者が有している可能性がある点には、十分に注意しなければなりません。安易に商標の使用を開始して、商標権侵害訴訟などを提起されると、事業に壊滅的なダメージを受けること必至です。

その点、ある程度の費用や時間は要するものの、商標登録を受けておけば、国(特許庁)からその商標を独占的に使用できることの「お墨付き」を得たことになります。すると、少なくとも、それと同じ態様で商標を使用する限りでは、第三者の保有する商標権を侵害するということはありません。商標登録を受けることで、使用の安全性も手に入れられるということですね。

また、商標登録を受けずに商標を使用している場合、現時点での商標の使用が第三者の商標権を侵害していなくても、将来的に別の第三者がその商標について出願をし、商標登録を受けてしまうというリスクが考えられます。この場合、たとえその出願より先に商標を使用していたとしても、当該商標が周知・著名に至っているといったような特別な理由がない限り、使い続ければ、その第三者の商標権を侵害することになりますので要注意です。

以上のような事情がありますので、末永く使用する商標であればあるほど、商標登録を受けられることをお勧めいたします。上述「4」のとおり、商標登録は、「使用を開始した順」ではなく、「特許庁に出願した順」に認められますので、一日も早く出願したほうが得策です。

なお、季節ものの商品など、ごく短い一定期間のみの使用となる場合には、商標登録を受ける必要性は低くなるかもしれません。しかし、このような場合でも、最低限かならず商標調査を行ない、障害となる他人の商標登録が存在していないことを事前に確認するべきでしょう。

(参考)
起業家・中小企業経営者必見! 知っておきたい商標リスク
商標対策をしないとなぜ危険なのか


10.商標登録って、2万円以内でできるのですよね?

いいえ、それは誤解です。
商標登録をするためには、最低でも28,400円が必要です。

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最近、格安料金で商標登録を代行する特許事務所が見受けられます。
インターネット上の広告では、一見すると、1万円~2万円程度で商標登録ができるかのような表示を見かけることもあります。
しかし、商標登録は、特許事務所に依頼せずに自分でやった場合でも、最低でも28,400円がかかります。

商標登録をするためには、スムーズに登録となった場合、①出願時に出願手数料を支払い、②正式登録時に登録料を支払う必要があります。
これが、最低でも①で12,000円。②で16,400円となっているのです。

ですから、商標登録が28,400円以下という特許事務所は、通常考えられません。
特許事務所に依頼した場合には、これにサービス料金が付加されますので、どんなに安くてもトータルで50,000円を切ることはないと思われます。

なお、上記はあくまで登録がスムーズにいった場合の最低料金です。
審査で引っかかり、弁理士に意見書の作成を依頼する場合や、拒絶査定不服審判を請求して登録性を争うような場合には、当然に、それなりの費用がかかりますのでご注意ください。


11.商標登録できなかったら、出願手数料は戻ってきますよね?

いいえ、出願手数料は特許庁から返還されません。

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商標出願をするには、出願手数料を支払う必要があります。
出願後、審査に進み、最終的に「登録査定」または「拒絶査定」がなされます。

「拒絶査定」となった場合、商標登録を受けることはできません。
したがって、登録料については納付する必要がありません。

一方で、誤解される方をたまに見かけるのですが、登録できなかった場合でも、出願手数料は戻ってきませんので注意してください。

「返金保証」を付けている特許事務所では、登録できなかった場合に出願手数料の料金分を返金していることもあるかもしれませんが、あくまでその特許事務所が費用負担をしているにすぎません。特許庁が返金しているわけではないのです。

登録できないと、何だか非常に損をした気持ちになるのはよくわかるのですが、「審査料」だと割り切って、残念ながらあきらめるしかないでしょう。


12.願書に記載した商標見本って、変更できますよね?

基本的には、要旨変更となるためできません。

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商標出願をした後で、実際に使用する商標は少しデザインが変更になったため、願書に記載した商標を修正したいと考える方も少なくないようです。

しかし、商標の変更は、ごく一部の例外を除いて、認められていません。
願書にある商標のデザイン変更や修正は、まず認められないとお考えください。

したがって、変更後の商標について商標登録を受けたい場合には、新しい商標出願を行なう必要があるということになります。

当初から完璧な商標見本を選択することは実際難しいでしょうが、商標の変更は基本的にできないことを念頭に、じっくり検討する必要があるでしょう。


13.願書に記載する指定商品って、追加できますよね?

願書に記載している商品の範囲を超える場合は、認められません。

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商標出願をした後で、「やっぱりあの商品も願書に書いておけばよかった!」と思うことは少なくありません。そのため、願書に指定商品を追加したいと考える方も多く見受けられます。

指定商品の追加自体は、補正手続によってできる場合があります。
ただし、願書に記載している商品の範囲を超えるような追加は認められません。

たとえば、願書に指定商品として第30類「菓子」と記載していた場合、これに代えて「和菓子」や「洋菓子」を追加する補正は可能です。「和菓子」や「洋菓子」は「菓子」に含まれるからです。

一方、同じ第30類の商品でも、「コーヒー」を追加する補正はできません。
「菓子」と「コーヒー」は、まったく別の商品になるからです。

したがって、この場合、「コーヒー」についても商標登録を受けたければ、新たな商標出願を行なう必要があるということになります。

このように、後から「しまった!」とならないように、願書に記載する指定商品の検討は、当初よりじっくり取り組むことが必要です。


14.中国で商標登録をしておけば、もう安心ですよね?

台湾、香港、マカオについては、中国とは別の商標登録が必要です。

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上述「8」のとおり、商標権は、原則として国ごとに発生するものであり、各国それぞれの商標登録制度が存在しています。したがって、外国で商標の保護を受けたい場合には、その商標について日本で登録を受けるだけでは足りず、当該国においても、あらためて商標登録を受ける必要があります。

そのような事情もあり、グローバル化が進んでいる近年においては、模倣品対策等の観点から、特に中国で商標登録を受けようとする企業が多く見受けられます。

ここで、我々日本人は、中国で商標登録を受ければ、当然に台湾、香港、マカオにおいても効果が及ぶと考えがちですが、これらの地域では中国とは別個独立した商標登録制度がありますので、注意が必要です。
商標制度の内容も、それぞれ異なります。

すなわち、これらの地域で商標を保護するためには、それぞれ商標登録を受けることが必要となります。全てをカバーしたい場合は、中国、台湾、香港、マカオの4つの商標出願手続を行なわなければなりません。

この点、当然ながら、それぞれ手続方法や審査期間が異なってきますし、その分費用もかかりますので、当初から皆様の事業計画に適した商標戦略を行なっていくことが重要となってくるでしょう。


商標調査に関する誤解

15.商標調査をしたので、絶対に登録が認められますよね?

いいえ、商標調査は100%が保証されるものではありません。
特許事務所で弁理士が実施する「商標調査」は、その商標の登録可能性や使用可能性について、高い精度で予見するものではありますが、結論が100%保証されるものではありません。あくまでも、皆様の商標戦略を手助けする補助的(ではあるが有効)な情報とお考えください。

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まず誤解しないでいただきたいことは、特許事務所で掲げる「商標調査」とは、その特許事務所の弁理士が実施するものであり、実際に商標登録の可否を判断する特許庁の審査官や審判官が行なうものではないという点です。

また、商標調査の内容の中心になるのは、
 (1)その商標と同一・類似の先行商標がすでに存在しているか、
 (2)その商標が商標として機能し得るか(識別力を有しているか)
という点ですが、 残念ながら、絶対の判断基準というのは存在しておりません。

これらについては、「商標審査基準」という、特許庁で作成された一応の基準は存在しております。しかし、商標には無限のバリエーションがありますので、全てのケースで画一的に適用できるわけではありません。判断においては、時代の変遷や、当業界の具体的な取引実情といった点についても、考慮する必要があります。

以上のような事情がありますので、商標調査を行なった弁理士と、実際に商標登録の可否を判断する特許庁の審査官や審判官の判断が異なるということも、あり得ることです。

もちろん、弁理士は、過去の審査例、審決例や裁判例、審査・審判の最近の動向を踏まえた上で、特許庁や裁判所でどのような判断がされるであろうかといった点を予測・分析し、商標調査の結論を出します。したがって、判断が難しいケースであればあるほど商標調査には時間を要しますし、商標調査の質(精度)というのは、これを実施する弁理士の経験や知識に大いに影響されると言えます。

しかしながら、弁理士も、審査官や審判官も、各々個性のある「人」ですから、考え方・感じ方が異なる場合がもちろんあり、経験のある弁理士による調査結果が、審査結果と異なる場合もあり得ることになります。商標調査を特許事務所に依頼される際には、このような点につき、予めご理解いただければと存じます。(ただし、依頼した商標調査の結果が「○」という結論だったにもかかわらず、実際の特許庁による審査の結果、最終的に拒絶査定となったというご経験が頻繁にある場合は、担当弁理士の調査能力を疑った方がよいかもしれません。)

なお、このような理由とは別に、商標調査について100%保証できない理由があります。それは、商標調査で用いる商標データベースには、データの更新に1~2か月のタイムラグがあるという点です。

わかりやすく言いますと、たとえば11月1日に商標調査を実施した場合、調査対象となる商標データのうち、9月1日~10月31日までに出願されたものが含まれていない可能性がある、ということです。

つまり、この時点で商標調査を行なって、8月31日までに出願された商標の中には類似する商標がなかったため、調査結果は「○」となったが、実は10月1日に第三者が同じ商標を出願していたという可能性も考えられるのです。この場合、たとえ調査を実施した翌日の11月2日に急いで商標出願をしたとしても、原則として商標登録を受けることはできないということになります。

調査実施側の理想としては、毎日のデータ更新を望むところですが、特許庁には毎日300~400件もの商標出願がされておりますので、現実的には難しいのでしょう。このようなデータベースの事情に起因するやむを得ない理由もあることを、依頼人の皆様に予めご理解いただければ幸いです。

(参考)
当事務所の商標調査サービス


16.商標調査って、弁理士さんがやれば同じ結論になりますよね?

いいえ、「商標調査」に決められた絶対の手順があるわけではありません。
特許事務所の掲げる商標調査は、事務所ごとに調査手法や調査内容が異なることがほとんどです。もちろん、調査報告の方法も様々です。

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皆様は、「商標調査」という言葉をよく耳にするかと思います。
特許事務所のウェブサイトでは、必ずと言っていいほど、その重要性が説明されているでしょう。「商標調査無料」を掲げている特許事務所も少なくないようです。

しかしながら、「商標調査」には、ある程度共通する部分はあるものの、決まった絶対の手順があるわけではなく、調査を担当する弁理士の調査方法や知識・経験によって、その内容が変わってくるものです。担当の弁理士によって、調査結果の「結論が異なる」ということも、決して珍しいことではありません。つまり、「商標調査」の質には、担当する弁理士の経験やノウハウが問われることになります。

また、「商標調査」は、「どこまで調査をするか」といったルールや決まりは基本的になく、調査内容は特許事務所や担当する弁理士の裁量次第となります。

たとえば、ある商標について、
(1)1つのデータベースを用いて、同一商標の存在を調べた場合(5分)も、
(2)1つのデータベースを用いて、類似商標の存在まで調べた場合(1時間)も、
(3)2つのデータベースを用いて、類似商標の存在まで調べた場合(2時間)も、
(4)2つのデータベースを用いて、類似と思われる商標が存在しているか、存在していた場合には過去の審査・審決例において似たような判断事例はあるか、過去に実際の拒絶例はあるか、併存登録例はあるか、その商標がインターネット上で使用されている形跡はあるかを調べた場合(4時間)も、
すべて「商標調査」と言われているのです。

つまり、(1)だけしかやらなくても、(4)までやっていても、特許事務所は「商標調査」と言っているのです。特許事務所によって「商標調査」の料金がピンキリなのは、これが理由の一つです。

きちんとした経験のある商標専門弁理士による商標調査の場合、上記の(1)や(2)だけということはまずありません。たとえば、利用するのが特許庁のデータベースだけでは、結果に漏れが生じる可能性があることを経験上わかっているからです。少なくとも、(3)くらいまでは行なうのが普通でしょう。(ただし、特許庁のデータベースだけでも、漏れが生じ得るパターンもカバーした検索手法を用いれば、精度の高い調査は可能です。もっとも、その場合には、当該データベースの「癖」まで熟知している程の経験と知識が必要なのは言うまでもありません。)

皆様が特許事務所に依頼している商標調査が、どこまでをその内容としているかについて、依頼時にご確認されることを強くお勧めします。特に、「無料調査」では、通常(3)までは行なっていないと思われます(併用するデータベースは、通常は専門民間企業が有料で提供するものを利用するからです)ので、心配であれば、別途(3)(4)を内容とする調査を依頼したほうがよろしいかと思います。

どの特許事務所(弁理士)に商標調査を依頼しても、調査内容や結果が必ずしも同じとはならないという点に、くれぐれもご留意ください。

なお、最近ではAIを利用した商標調査サービスも開発されているようです。
精度は未知数ですが、商標の識別力や取引の実情、商標の使用態様、依頼人の個別事情までを考慮した調査は難しいように思います。よって少なくとも現時点では、人間である商標専門家による商標調査の方が無難かと思われます。

※上記の「特許庁のデータベース」とは、正確には「独立行政法人 工業所有権情報・研修館」が提供する「J-PlatPat」を指します。

(参考)
当事務所の商標調査サービス


商標権に関する誤解

17.商標権があれば、どんな相手にもクレームできますよね?

いいえ、商標権の効力は無制限に認められるわけではありません。
商標権は、願書に記載した指定商品・指定役務に基づいて権利範囲が決まります。
よって、権利範囲にない商品やサービスに商標を使っている第三者には、基本的にクレームはできません。また、商標権の効力が制限される場合があります。

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商標登録は、商品や役務ごとに行われるものであり、そこに商標権が生じます。よって、商標権の効力範囲は、願書に記載した指定商品・指定役務に基づいて定められることになります。

したがって、たとえ自分の登録商標と同一・類似の商標を第三者が無断で使用していたとしても、その使用の全てに対して商標権の効力が及ぶわけではなく、商品や役務の関連性が必要となる点に注意が必要です。

たとえば、A社が指定商品を「電子計算機用プログラム」として、商標「シオン」の登録を受けた場合に、関係のないB社が商品「菓子」について、同じ商標「シオン」を使用して販売しているのを見付けたとします。

A社としては、このB社の「シオン」の使用をやめさせたいと考えるかもしれませんが、A社の商標権の効力は、あくまで「電子計算機用プログラム」とそれに類似する一定の商品範囲までに限られ、「菓子」の使用にまでは及ばないのです。

つまり、このようなケースでは、A社がこの商標権に基づいてB社にクレームを行なえば、その使用をやめさせる法的根拠がないどころか、立派な「言いがかり」となってしまいます。

ですので、ある商標について商標登録を受けようとする場合には、出願の際に、願書にどのような指定商品・指定役務を記載するのかが肝となります。

そのためには、「現在において独占的使用と保護が必要な商品・役務は何か」、「将来的に参入可能性がある商品・役務の分野は何か」、「当面使用予定はないが、業務の関連性から他人に使用をさせたくない商品・役務の分野は何か」等、様々な観点より、戦略的な願書記載の検討が必要となります。

商標登録を受けて安心していると、トラブルが生じた時になって、「権利が欲しい眼目の商品やサービスについて、実は商標権が取れていなかった」、「知らぬ間に他人が眼目の商品・サービスに商標登録を受けてしまった」ことに気付くケースも見られます。特に、後者のように至った場合は、その後の自己の使用が、他人の商標権を侵害してしまう可能性がありますので一大事です。

このような願書への商品・役務の記載は、経験が物を言います。
単に「願書を書くだけ」なら誰にでもできます。上記を考慮した、しっかりとした権利内容とするためにも、経験豊かな商標専門家(できれば、商標弁理士)にご依頼されることをお勧めいたします。

なお、上記の場合のほか、商標法で規定する所定の要件を満たす場合には、商標権の効力が制限される場合があります。


18.商標権って、10年経ったら消滅してしまうのですよね?

商標権は、特許権や意匠権と異なり、「更新」することが可能です。

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知的財産権である特許権や意匠権は、有効期限(存続期間)が定められており、その期間が経過すると原則として消滅します。

一方で、商標権については、「更新」が認められており、所定の期限までに申請手続を行なうことによって、さらに10年間の存続期間を得ることができます。すなわち、更新手続を行なうことで、半永久的に権利を維持することができるということになります。

このような特徴がありますので、登録後の商標管理が非常に重要となります。
ちなみに、更新の際には、登録時に発行された登録証は再発行されません。
登録証は、当初より大切に保管しておくようにしてください。

なお、更新申請には10年分の更新登録料が必要です。
無料で更新できるわけではありませんので、ご注意ください。

(参照)
商標登録後のワンポイントアドバイス
登録後に気を付けること


19.他人の商標権を侵害したとしても、怒られて終わりですよね?

他人の商標権を侵害した場合、怒られるだけでは済まない場合があります。

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上記「9」のとおり、商標登録を受けなくても、商標を使用すること自体は一応可能です。ただし、この場合、他人の保有する商標権を侵害するリスクを負うことになります。

このリスクの程度については、一般的に知られていないようで、「注意されたり、怒られたりした後で考えよう」と楽観視している方も、たまに見られます。

しかしながら、他人の商標権を侵害した場合には、以下のような強烈な制裁がなされる可能性があるため、くれぐれも注意する必要があります。

(1)民事的制裁
 商標権侵害訴訟を提起され、商標の使用の差止請求や、損害賠償請求などを求められるリスクがあります。原則として、「商標権を侵害していることを知らなかった」という言い訳は通用しませんので注意が必要です。

差止請求が認められた場合、現在の商標について使用の中止をする必要があり、商品パッケージ、商品カタログ、ウェブサイト広告等の変更を余儀なくされます。場合によっては、商品自体や関連設備の廃棄もしなければならないこともあるでしょう。これらに必要となる金銭的負担は甚大だと言えます。

また、損害賠償請求が認められた場合には、商標権者に賠償金を支払う必要があります。賠償額については、事件によってケースバイケースですが、数十万円程度で済むケースもあれば、数千万円、数億円と裁判所に認定されたケースも実際にありますので、楽観視はできません。

これらに加えて、訴訟を進めていく上では弁護士費用も必要となりますし、判決が出るまでには早くても1年程度の時間がかかると思われますので、費用面だけでなく、労力や精神的負担も甚大です。

(2)刑事的制裁
 商標権侵害行為は刑事罰の対象となります。

商標権侵害罪は、「10年以下の懲役または1000万円以下の罰金(法人の場合は、3億円以下の罰金)」とされています。暴行罪が「2年以下の懲役または30万円以下の罰金」といった具合ですので、かなり重い罪と言えるでしょう。

(3)社会的制裁
 他人の商標権を侵害した場合、上記(1)や(2)の制裁のように金銭的な負担を負うだけではなく、これらに加えて社会的制裁も受けることになるでしょう。

たとえば、上記(1)の商標権侵害訴訟を起こされたことがテレビや新聞等のメディアで報道されれば、たとえ最終的に商標権侵害が認められなかった場合であっても、世間の印象や企業イメージの低下は免れないでしょう。上記(2)の刑事罰が科されるに至ってしまえば、社会的信用を取り戻すことはほとんど不可能であると言えます。「信用」はお金では買えませんので、この社会的制裁が場合によっては一番ダメージが大きいとも言えるかもしれません。

以上のように、商標権侵害のトラブルに巻き込まれた場合、様々な制裁を受ける可能性があり、その結果、回復不能な深刻なダメージを負うことも考えられます。

このようなリスクを回避するためにも、ご使用になる商標については、しっかり商標登録を受けることをお勧めいたします。


その他の誤解

20.「そだねー」とか「PPAP」が商標登録されたら、これらの言葉は使えなくなるのですよね?

いいえ、商標登録は言葉を独占するものではありません。
「商標として」使わなければ、自由に使うことに問題はありません。

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最近、流行語が商標出願されるたびに、報道等で話題となる傾向があります。
おそらく、一般の方は、「これらが商標登録されたら、言葉として使えなくなるのではないか?」と心配されるからだと思います。

しかし、「商標」とは、商品や役務の識別標識のことを言います。
ですので、商品や役務の識別機能を発揮するような態様で使わなければ、実質的に他人の商標権を侵害することはありません。たとえば、ブログやSNSで「そだねー」と書き込んだり、「PPAP!」と叫んだりしても何の問題もありません。

また、「商標」は、「業として」(事業として)使われるものです。
したがって、事業とは関係のない一般の方が、普段の生活で他人の商標登録を気にする必要は実はほとんどありません。たとえば、あなたが趣味で作ったケーキの包装箱に、「そだねー」と書いて友達にプレゼントしても、何の問題もありません。
※ただし、一般の方でも、インターネット上で通信販売をしていたり、オークション出品をしていると、事業とみなされる可能性がありますのでご注意ください。

このように、商標登録は言葉を独占するものではありません。
本来的には、商標に化体した業務上の信用を保護するものなのです。