商標権って他人が商標を使う行為すべてに及ぶの?

商標権の効力範囲は?

商標権があれば、他人がその商標と同じ商標や、似ている商標を使うことをやめさせることができます。しかし、無制限に効力が及ぶわけではありません

すなわち、他人がそれらの商標を、願書に記載した指定商品や指定役務と同一または類似の商品・サービスに使っている場合に限り、商標権の効力が及ぶことになります。非類似の商品・サービスに使っている場合には、商標権の効力は及びません。

たとえば、指定商品を「お菓子」とする商標「しおん」の商標権を保有していたとして、他人が同じ商標「しおん」を使っている場合でも、その使っている商品が「おもちゃ」であれば、それらの商品は同一でも類似でもありませんので、商標権の効力は及ばないということになります。

また、たとえ同じ商品に同じ商標を使っていたとしても、それが商標としての機能を発揮できるような態様でなければ、「商標的な使用ではない」として、商標権の効力は及びません。

商標権の保持にお金はかかるの?

商標権を持ち続けるには?

商標登録を受ける際に、10年分の登録料(2回の分納の場合は5年分)を支払いますので、何事もなければ10年間はそれ以上のお金はかかりません

なお、商標権を更新する際には、あらためて費用が必要となります。
更新登録料は、以下の通りです。

・更新登録申請料(※一括):区分数×38,800円
・更新登録申請料(※分割):区分数×22,600円

料金の詳細は、特許庁ウェブサイトをご参照ください。

商標が似ているかってどう判断するの?

商標が「似ている」とは?

商標と商標の①外観(見た目)、②称呼(読み方、発音)、③観念(意味)を総合的に観察して判断されます。その際、その商標を使用する商品やサービスの取引の実情や慣行などが考慮されることがあります。

一般的には、②称呼がもっとも重視される傾向にありますが、商標が図形の場合は①外観の共通点や差異点が重視されるといえるでしょう。

いずれにしても、商標が似ているかどうかの判断は、個人の主観や感覚的な要素が含まれることも否定できず、実務上ももっとも難しいものです。

外国で商標登録をするにはどうしたらいいの?

外国で商標登録するには?

日本での商標登録と同じように、外国の特許庁(または相当する機関)に登録申請をする必要があります。商標登録が認められる条件や手数料、登録までにかかる時間等については、国ごとに異なります。

日本からであれば、一般的には外国の特許事務所や法律事務所に手続代行を依頼することになります。ただ、依頼できる外国の弁理士や弁護士と付き合いがある方はほとんどいないと思われますので、通常は、彼らと提携関係のある日本の特許事務所や法律事務所を通じて行なうことになります。

このように、日本の特許事務所と外国の特許事務所の2つを通すため、サービス手数料がそれだけ多くかかります。外国で商標登録を受けるためには、日本の場合と比べて、かなりの費用が必要となる点には予め留意しておくべきでしょう。

なお、1つの申請によって複数の国で商標登録が認められる「国際登録」(いわゆるマドプロ)の制度もあります。詳しくは専門家にご相談下さい。

外国で商標を使う場合はどうなるの?

外国での商標の保護は?

日本で商標登録を受けて発生する商標権は、日本国内でのみ有効です。
日本であれば全国に及びますが、外国にまでは及びません

外国で安心して商標を使うためには、その国でも商標登録を受けることが必要です。

なお、中国、台湾、香港、マカオはそれぞれ別の商標登録となります。

欧州共同体の国(28か国)については、欧州連合商標制度(EUTM)を利用することによって、1つの商標登録によって28か国で保護を受けることが可能です。

商標登録って有効期間はあるの?

商標権の存続期間は?

商標登録により生じる商標権は、登録日から10年の存続期間があります。
つまり、商標登録の有効期間は10年間と言えます。

ただし、登録料を5年ごとの分納にした場合に、後半5年分が支払われなかった場合には、商標権は5年間で消滅します。また、異議申立て、無効審判、不使用取消審判などが第三者に請求された場合には、審理の結果によって、途中で消滅してしまう場合があります。

なお、商標権は「更新」が可能です
所定の更新手続を行なうことで、さらに10年の存続期間が認められます。
すなわち、事実上、半永久的に商標登録を有効にすることが可能です。

商標登録をしないで商標を使うと危険?

商標登録をせずに使うリスク

商標登録は義務ではありませんので、これをするかしないかは事業者の方々のお考え次第です。

しかし、商標登録をしないで商標を使い始めると、主に2つの重大なリスクがあると言えます。

(1)他人の商標権を侵害する可能性があります。
他人の商標権の範囲内となる商標については、原則として商標登録は受けられません。これは、逆に言えば、商標登録ができた商標は、基本的に他人の商標権を侵害することなく自由に使えることを意味します。

一方で、商標登録を受けずに商標を使っている場合、これが他人の商標権の範囲内となるものであれば、商標権の侵害となってしまいます。このようなリスクがありますので、少なくとも使用できる可能性については、使い始める前に商標調査を行なう必要があります。

(2)他人に先に商標登録される可能性があります
商標登録は早い者勝ちのルールです。

たしかに、商標登録をしなくても、他人の商標権を侵害していない限り、その商標を使うことはできます。しかし、他人がその商標を先に登録してしまった場合、商標権が発生しますので、継続して使い続けると商標権侵害となってしまいます。

たとえ、あなたが先に使い始めていたとしても、原則としてこれに対抗することはできませんので要注意です。

商標登録できなかったらどうなるの?

商標登録できない場合は?

まず、申請のために支払った手数料は戻ってきませんので注意が必要です。
言い方は悪いですが、「商標登録失敗」により、申請手続は終了します。

なお、識別力が認められないという理由(商標法第3条1項各号)で登録が拒絶された場合、その商標を登録することはできませんが、使うことは自由です。そのような商標は、そもそも誰も独占できないことを意味するからです。

一方、申請した商標が、先に他人が登録した商標と同じか、似ているという理由(商標法第4条1項11号)で商標登録が拒絶された場合には、特に注意が必要です。その商標を使うと、他人の商標権を侵害してしまうことになるからです。もし、すでに商標の使用を開始していた場合には、すぐに使用を中止して適切な対策を講じることが必要です。

商標登録までにどのくらい時間がかかるの?

登録までにかかる時間は?

商標登録の申請(願書の提出)から、おおむね6か月程度がかかります。

ただし、これは審査で引っかかることなくスムーズに登録となった場合です。審査で引っかかって意見書の提出や、拒絶査定不服審判の請求が必要となった場合には、登録までに1年~2年かかることも少なくありません。

なお、すでに使用を開始していて他社からライセンス許諾を求められているなど、特別な事情がある場合には、事情説明によって「早期審査」が適用される場合があります。これが認められた場合、審査期間が短縮されて、約2~3か月で商標登録を完了させることが可能です。

商標登録って絶対に認められるの?

絶対に商標登録できるのか?

登録の申請をすれば、「絶対に認められる」というものではありません

申請内容は、特許庁の審査官によって審査がされます。
この審査にパスしたものだけが、商標登録を受けることができるのです。

なお、近年では、おおむね申請した商標の7割程度が登録されています。